Q&A

子宮頸がんとHPVワクチンについて

Q1

子宮頸がんにかかるとどんなことが起きるのですか?

進行すると痛みや全身の転移がおき、命にかかわります。日本で年間子宮頸がんでなくなる女性は約3000人。これは交通事故の死亡者より多いのです。 将来の妊娠・出産にもかかわります。子宮を残すことができても流産・早産のリスクを負います。思春期のみなさんのお母さん世代も注意しなくてはならないがんです。家庭から闘病生活でお母さんがいなくなるのは、 とてもつらく大変なことです。

お母さんが子宮頸がん検診をうけていなかったら、どうか検診に行くよう教えてあげてください。

Q2

以前1回だけ接種を受けたのですが、何年も経ってから2回目、3回目の接種を受けても効果はあるのでしょうか。

HPVワクチンの接種スケジュールについては、8年以上の接種間隔が空いた場合のエビデンスは国内外で認められていません。現状入手可能なエビデンスによれば、1~5年の接種間隔が空いた場合でも通常の接種スケジュールと比較して同程度の効果と安全性が認められています。

Q3

HPVワクチン接種を受ければ子宮頸がん検診は受けなくても良いですか。

現在のワクチンでは、子宮頸がんハイリスクHPVの一部を予防することができません。また、まれではありますが、HPVに関連がない子宮頸がんも存在します。よってHPVワクチン接種を受けた場合でも子宮頸がん検診は必要です。HPVワクチンと子宮頸がん検診をうまく組み合わせることで、子宮頸がんにかかるリスクを減らし、かかった場合でも早期発見、早期治療を可能にすることができます。

Q4

性交渉歴があるのですが、ワクチンの効果はあるでしょうか。

HPVワクチンにはHPV感染後にウイルスを除去する力はありません。初回性交渉前に接種を行った場合と比較して、性交渉後に行った場合に効果が落ちると報告されています。すでに子宮頸部の細胞診異常がある場合に、それを治療する効果はありません。しかしHPV感染は90%が自然に治癒すると報告されており、自然治癒後の再感染を予防する可能性があります。

また、HPVに感染している場合でも、ハイリスクHPVすべての型に感染している場合は少なく、今感染していない型の感染予防効果はあると考えられます。性交渉歴を問わない17歳~30歳への4価ワクチン投与が子宮頸がんリスクを53%減少させたという報告もあります。

現在HPVに感染しているかどうか知りたい場合、旭川市では2年に1回子宮頸がん検診に公費補助が出ており、その際にプラス500円でハイリスクHPVに感染しているかどうか調べることができます。

Q5

重症な副反応がおこることが心配です。ワクチンを打った方が良いでしょうか。

すべての医療行為にはメリットとデメリットがあります。HPVワクチン接種時や接種後に約5~8割の方で注射部位の痛みや腫脹が起こると言われています。また稀ではありますが、ギラン・バレー症候群のような重篤な副反応がおこることもあります。

女性が生涯で子宮頸がんおよびその前がん病変に罹患する確率は1.3%と言われており、HPVワクチンで重篤な副反応を起こす確率は0.05%程度と報告されています。全体としてはメリットの方が大きいと考え、接種を推奨しています。

ただ子宮頸がんのリスクは個人でも異なり、またワクチン接種の効果 (メリット) も年齢や性交渉歴によって異なります。接種を受ける際には自分にとってのメリットとデメリットを比較して、納得した上で接種を受けることをお勧めします。

当院でのHPVワクチン接種について

Q1

旭川医科大学病院の受診歴がなくても大学病院で接種できますか。

旭川市、美瑛町、愛別町、鷹栖町、東神楽町、比布町に住民票がある方であれば、受診歴がない場合でも、初診料がかからずに接種を受けることができます。

Q2

予診票が届いていないのですが、接種できますか。

旭川市、美瑛町に住民票がある方は予診票が届いていない場合でも接種を受けられます。産婦人科外来にて予診票を受け取って記入してください。 その他の自治体にお住いの方については現在調整中です。

Q3

数年前に1回のみ接種していますが、3回接種できますか。

以前定期接種として1回または2回接種をうけている方で、キャッチアップ接種の対象となる方は、全部で3回になるように公費で追加接種を受けることが可能です。接種を受けたかどうかわからない、何回受けたか覚えていない場合には、接種を受けた自治体に確認してください。

Q4

9価ワクチンを接種することはできますか

定期接種、キャッチアップ接種、任意接種いずれも9価ワクチンを選択することができます。

その他

Q1

新型コロナウイルスワクチンと同時期に打っても大丈夫ですか。

コロナワクチンを接種した後は2週間は間隔をあける必要がありますが、他のワクチンの場合は間隔をあける必要はありません。